生命幾何学研究所

      


ヒト前腕骨の形態と機能 
[単一の幾何学的概念(円錐面上の測地線)を用いて行った生物の形態及び機能設計]
東京大学出版会 バイオメカニズム13 { p205~p215 }より

一般に生物の形態はその機能に従属するように考えられている.しかし機能と形態とは並列で語られるべきであり,極めて美しく協調しているものの,それらはお互いに独立した主張を持っているように感じられる.現代のように機能が形態の形成原理であるかのように論じられ,形態に対しなんとか機能上の意味を,その合目的性を探そうというふうにしか論理が進んでいかないのは,「進化論」の影響を強く受けているからだと考えられる.より機能的である形態が長い時間をかけて選択されるという「進化論」を否定するつもりはないが,現在ある生物の形状のすべてを機能で説明し尽くすことはできないのもまた事実である.形態には環境への機能的適応と同時に『このようにしか作れない』という生命側の要求があり,それら二つが妥協というより調和することによって,形態形成がなされていると考えられるのである. 

このように、生物の硬組織及び軟組織において、マクロにおいてもミクロにおいても、現代の持つ進化論の強い拘束から離れ、幾何学的概念を基として、その形態と機能を並列で考え、語ろうと志向する学問を生命幾何学と称する。


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