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もう一年くらい前になりますが、成人したイタリア人が親と同居している割合が増
えているという記事がイタリアの新聞にありました。15―24歳までの男性で81.6%、25―34歳でなんと40.8%も!です。一方女性はというと、15―24歳で75.7%、25―34歳で25.9%で、意外にも男性よりも低い数字。また、あるミラノの研究所によると29歳の男性のうち、50%が両親と同居しているとの報告もありました。昔から、映画の中でこわいイタリアマフィアが“マンマ、マンマ”と言ってやけにお母さんになついている姿はよく目にしますが、それにしてもちょっとこの数字の高さには驚き!です。たとえばアメリカでは大学、または就職したら親元を出るのが当たり前、そうでないとコイツちょっと変なやつと思われます。日本でも30過ぎて親と住んでいる男性と言えば、“フム?”と思われますよね。ましてやヨーロッパといえば“個人主義”の大家本元なのに...イタリアはアングロサクソンカルチャーとは、やっぱり少し違うのです。でも、思い起こしてみると私の身の回りにもいました、40代でお母さんと住んでいる独身のイタリア人男性が。その人はたまたま縁がなく、2年前まではドイツ人のガールフレンドと4年間ほど同棲していたらしいのですが、それが壊れてしまった後はまたお母さんと一緒にアパート暮らし。休みの日には、「特に予定もなかったからお母さんと一緒に田舎の家に行ってた」ということもしばしば。でもイタリアでは彼のような人でもとくに違和感はないようです。 新聞は、親との同居が増えている理由について、不景気で若い人に職がないため に自立ができないという経済的な理由をあげていました。また、アメリカのように学内に“キャンパス”がないという居住事情、そして、女性の高学歴化、社会進出増加による晩婚化という、昨今の万国共通の社会的な要因も。 この新聞記事が出た直後、ある週刊誌が何人かの若い男女へのインタビューも含 めて同じ内容の記事を組んでいました。その意見をみてみると、“実家にいれば、快適なんだ。夜遅く帰ってきてもだまってコーヒーを入れてくれるし。結婚したくても、お母さんみたいな女性はなかなか見つからないと思うよ。”(33才男性)とか、“そうね、一人暮らししようかな、とも思うけどあえて家を出て快適さを失うこともないし… 結婚するにしてもなかなかいい相手が見つからないし”(27才女性)と、どこかの国で聞いたことがあるようなセリフ... 独り立ち“できない”のか、“しない”のかはともかく、もともと家族間のつな がりが強く、結婚して独立してからも実家の近くに家を構え、昼食には実家にマンマの手料理を味わいに帰るということが現在でも普通のイタリアでは、大人になる=親から独立するという考え方が、他の国と比べて薄いことは事実のよう。これを可と見るか否と見るかはさておき、これもイタリアの個性を育んでいる文化の一つなのでしょう。(ちなみに私も親のすねかじり組なので、何も言えません。そろそろ追い出されそうですが...) |