ベトナムの街角から

▲サリン事件ベトナムにも余波

ベトナムにもオウム真理教の余波が訪れた。4月初旬からオウム真理教の教団幹部が海外に逃亡したとの情報があり、ベトナム公安としても捨ててはおけず、ホ−チミンのタンソニュット、ハノイのノイバイ両国際空港の監視を強めた。また日本人でホテル以外に住んでいる人々に対する調査も強化した。公安の調査の方法はかなり日本の慣習とは違い、強引なものだった。夜中の12時から1時前後に急に宿泊先に調査に来て、本人かどうかを確認するほか本人がどのような仕事をしているのか、また滞在の目的は何かについて調査をした。比較的調査の回数も多く、日本人滞在者の中ではかえって不安を感じた人も多かった。このようなオウム真理教の教団幹部が海外に逃亡したうわさは東南アジア一体に広がっており、公安筋では日本の当局からの情報としているが、その事実関係は不明である。逆に日本人の現地駐在員はこれを機会に日本人でベトナムの公安に届け出ていない宿泊先不明の人間を把握しておきたいという、ベトナム公安当局の思惑もあるのではないかと推測している人も多い。しかしいずれにしてもこのような機会を捕らえて調査し、日本人の動向を把握することは公安当局にとっては極めて有効に働いたのではないかと思われている。なお5月中旬になってもまだこうした動きは続いており、日本人で宿泊先を明らかにしていない人にとっては極めて不利な存在になっている。なおベトナムでは観光客、一時滞在者、駐在員にしてもベトナムにいる間はすべて公安がその所在を把握することになってている。したがってホテルに宿泊する時にはホテルに滞在を確認している。またホテル以外では最寄りの公安当局(日本の交番に近い存在)にどこに宿泊しているかを届け出なければならないことになっている。またホテル以外に宿泊する場合はベトナム人に対して外国人を宿泊させることができる許可証を出すことになっており、宿泊許可を得ていないベトナム人が外国人を宿泊させることはできない。さらにこれまで鎖国同様のことを長い間していたために、外国人に接する機会が少なく、外国人に対して、うっかり接触すると公安の調査対象になるとの不安がベトナム人自身にあることも、まだ外国人慣れをしていない理由である。しかしこのような機会をとらえて対外政策を強化することもあるが、しだいに国が開かれていく方向にあることは間違いないことである。

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